こんなふうに、凡庸な人間というものがどうにも我慢ならなくなったのはいつのころからだったろう。今だってそうだ。後ろの席に座る二人組の、愚にもつかない会話を背に聞きながら。これは創作ノートとして書き始めたものではあるけれども、書いている状況、そして僕の心境はほぼこの通りである。
……さっきまで生物学で、雌の雄に対する選好性についての講義を聞いていた。雌は雄の形質──美醜、肌の色などすべて──から、雄の優劣を見定め、優れたものを選んで劣ったものを避けようとする。しかしその理論をそのまま人間に応用するのは間違いだ。自らも醜男の生物学教師は、額に汗してくどいほどにそう繰り返した。
僕はいつも疲れている自分自身を感じている。疲労感のあまり、十年は老け込んだ顔をしている自分を思い、ときに鏡を覗き込む。鏡の中から見返す顔は必ずしもそのようではなく、しばしば年齢のわりに幼すぎるようでさえあるのだったが。
生物学教室にて
(02/10/10)